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■衆議院 厚生労働委員会

■平成16年4月9日(金)

  内閣 委員会

 
○答弁者
警察庁刑事局組織犯罪対策部長       近石 康宏

警察庁長官官房長   吉村 博人

国家公安委員会委員長 小野 清子

 

 

山本委員長 次に、泉健太君。


泉(健)委員 質問させていただきます。
 まず、今回起こりましたイラクの人質事件に関してお伺いをしたいというふうに思っております。
 私たちもこういう事件は大変許せないことだというふうに思っておりますし、また、昨年、平成十五年八月に、政府として、警察庁として緊急治安プログラムというものを発表されていると思いますけれども、その中でも、国民の、さまざまな重大テロ事件に対して、国内外問わずしてこれは国の明確な責任であるというふうに明記をされているわけです。
 それに基づいて警察庁の方でも行動されておられるというふうに思いますけれども、この昨年の緊急治安プログラム、この中に「テロ対策とカウンターインテリジェンス(諜報事案対策)」という項目がございます。この中においてさまざまな対策が書かれておるわけですが、「(一)情報収集・分析機能の強化」ということで、各国情報機関との情報交換、そしてまた情報収集衛星から得られる情報の処理、そして国際テロ特別機動展開部隊の設置、そういったものが書かれておりますが、現状の進捗状況についてお答えいただきたいと思います。


小野国務大臣 まず、私、最初の方の、イラクで邦人三名が武装グループに拘束された件についてお答え申し上げたいと思います。
 イラクにおきまして発生いたしました日本人人質事件を受けまして、警察におきましては、四月八日十八時四十五分に警備局長を長といたします対策室を設置いたしまして、所要の対策を講じ、一日も早く邦人が解放されるように全力を尽くしているところでございます。
 具体的には、本日、国際テロ緊急展開チームというものを派遣することといたしましたほか、国内におけるテロ等の未然防止のための情報収集及び警戒警備を徹底するように、昨日、警察庁より各都道府県に対しまして指示をしたとの報告を受けておるところでございます。
 また、警察におきましては、国内関係機関及び外事治安機関等との連携を密にいたしまして情報収集を強化しておりますし、さらに、関係都道府県の警察におきましては、被害者家族との連絡窓口を設置いたしまして、これは宮崎県並びに北海道でございますけれども、御相談に応ずることができる態勢をとっているところでございます。
 国際テロ等の関係に関しましては、官房長よりお話をさせていただきます。

吉村政府参考人 今、大臣から御答弁あったとおりでありますけれども、今夕あたりに、警察庁としましても、先ほどのチームを送って、当該地域での情報収集なり、人質の救出に当たれるかどうかわかりませんけれども、その方向に向けていろいろな手はずを整えたいと思っております。
 なお、四月一日で警察法が改正になっておりますけれども、そこで国際テロリズム対策課の中にチームをつくるということでございますが、それはまだ今の時点では間に合いませんので、これまでの既存のメンバーを送りたいというふうに思っております。

泉(健)委員 そうしますと、この緊急治安プログラムに書かれている国際テロ特別機動展開部隊(仮称)というものと、今回報道でもされています国際テロ緊急展開チーム、これは別だというふうに考えてよろしいでしょうか。

○吉村政府参考人 別でございます。発展的に解消してチームをつくりたいと思っておりますけれども、現時点ではまだできておりません。

泉(健)委員 発展的解消ということで、二つが並立する形ではないということですね。そうしますと、現在のTRT、この国際テロ緊急展開チームから国際テロ特別機動展開部隊へ変わるに当たって、どんな点が変更されるんでしょうか。

吉村政府参考人 突然のお尋ねでございますので、ちょっと、手元に資料がございませんので、答弁いたしかねます。

泉(健)委員 この国際テロ緊急展開チーム、今回で七回目の派遣だというふうに聞いております。特に、やはり現地で、この部隊の中に言語の通じる方がおられるのかどうかという問題も含めて、さまざま大変困難なことがあるかと思いますが、ぜひ取り組みを、また、このチームに限らず、サポート体制というものがとれるようであれば、警察の中でも積極的に協力をしていただきたいというふうに思っております。
 また、これは小野大臣に追加で質問というか要望なんですが、逢沢副大臣がこの警察の展開チームとともにアンマンに派遣をされるというふうに聞いておりますけれども、逢沢副大臣はもともと四月十日からリビアに行かれる予定だったということでのことらしいんですね。現地に到着をして、外交日程はそのまま引き続き続けられるのか。あるいは現地にとどまって、アンマンの方で、あるいはイラク国内に入って活動されるのか。もし何か聞いておられればお願いいたします。

小野国務大臣 今の御質問に対しては、私、承知いたしておりません。

泉(健)委員 やはり、非常に不安ですね。対策会議というものを開いているわけですから、その辺も含めて各大臣の動きというのは非常に大きいと思いますし、また、逢沢副大臣というのも、外国に行くに当たっては国の代表として行くわけです。そういった方が外交日程をそのまま続けられて、リビアであればリビアに行ってしまうのか、あるいは現地にとどまるのか、ここは大きな問題だと思いますので、ぜひまた情報を出すようにそちらからも言っていただきたいというふうに思います。
 この緊急治安プログラムについてもう少しお伺いをしたいんですけれども、余りわからないのかもしれないです、きょう急にこの質問も当たってみましたので。このことについてはまた改めてお伺いをしたいと思います。
 ただ、昨年の八月、緊急治安プログラムということで、国内外のテロ対策、警察の方が取り組まれているわけですので、この辺の進捗状況についてはまた今後いろいろと説明をお願いしたいというふうに思います。
 続いて、次の質問に移りたいと思います。
 暴対法の改正ということで、私たち、基本的にはこの法案について何ら反対をする立場にはないと思いますし、これによって救済をされる方々、あるいは裁判の進行において進みやすくなるということであれば、ぜひともこの法案は協力をさせていただきたいというふうに思っておりますが、幾つかの点について質問させていただきたいと思います。
 今回の改正の目的ですね。というのは、一般的に、国の方からいただいた資料に書いてある法律制定の目的みたいなものではなくして、この改正の目的。例えば全体的な何か計画があり、暴力団撲滅の計画がある中で、これはどういう位置づけを持っているのかということを大臣にお答えいただきたいというふうに思います。

小野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今回の改正法案は、指定暴力団の代表者等は、凶器を使用した対立抗争または内部抗争によりその指定暴力団員が他人の生命、身体及び財産を侵害したときには、これによって生じました損害賠償をする責めに任ずることとするものでありまして、対立抗争等の被害者の被害回復の充実を図ることを目的としているわけでございます。
 さらに、副次的な効果といたしましては、頻発いたします対立抗争等の発生の抑止が図られるものと期待されるわけでございます。
 犯罪対策閣僚会議が昨年十二月に策定をされたわけでございますが、犯罪に強い社会の実現のための行動計画におきまして、いわゆる組織犯罪情報の集約あるいは相互利活用等の推進、あるいは暴力団排除活動の推進と行政対象暴力対策の推進等を内容とする組織犯罪対策あるいは暴力団対策の推進が掲げられておるわけでございます。
 したがいまして、今後は、ここに掲げられました事項につきまして、警察庁を含めました関係省庁が緊密な連絡を図りながら着実に推進する必要があるものと認識しておるところでございます。

泉(健)委員 今の時代、どんな政策に関しても行政評価というものが問われると思うんですが、この改正によって期待をされている効果というものはどの程度のものなのか。もう現状でも、確かに巻き添え事件というものは件数そのものでいえば非常にそもそも少ないものでございますので、ここからさらにどれぐらい減らせるというふうに考えてのこの改正でしょうか。

近石政府参考人 過去十年間における暴力団の対立抗争の発生事件数は七十六件でありまして、ことしは既に昨年の半数を上回る四件が発生しておるところであります。
 最近の暴力団対立抗争事件を申し上げますと、昨年四月から六月にかけまして、栃木県等七県におきまして発生しました、死者五人、負傷者四人を出した山口組と住吉会による抗争事件。それからまた、本年二月に、北海道、東京ほか三県において発生しました、死者四人、負傷者三人を出した山口組と飯島会による抗争事件。また、本年四月七日、北海道において発生いたしました、二人の負傷者を出した山口組と稲川会による抗争事件。また昨日、これは抗争事件とはまだ認定はしておりませんけれども、東京・新宿におきまして、山口組対住吉会の傘下組員におけるけん銃発砲事件というふうな事件も発生しているところであります。
 何件この法律の成立で減らせるかということは非常に難しい問題でありますけれども、いずれにおきましても代表者が責任を問われるということになりますと、相当、抑止効果といいますか、暴力団の足をとめると申しますか、そういうことの効果は働くものというふうに思っておりますので、私どもとしては相当の期待をしておるところであります。

泉(健)委員 そこなんだと思うんですね。
 ちょっと質問を変えますが、大臣、そもそも、暴力団撲滅ということに対して、犯罪全体ではなくして、例えば、私は、政府の行っている交通安全対策なんかについては非常に高い評価をさせていただいております。私も交通安全を願う一人として、ああいった形で明確な目標を決め、またそこに向かって取り組んでおられる姿というのは非常に国民にもわかりやすいというふうに思っておりますが、暴力団撲滅に向けての行動計画というのは存在していますでしょうか。

小野国務大臣 それは、暴力団の弱体と壊滅にある、そのように認識をいたしております。

泉(健)委員 そういった計画、例えば何年計画なり、存在をしているでしょうかということを、もう一回お願いします。

小野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 いわゆる警察庁を含めました関係省庁が緊密な連絡を図りながら着実に推進していくという、それぞれのつかさつかさにおいて、それ以外にないものと承知をいたしております。

泉(健)委員 こうして、例えば全国暴力追放運動推進センター、非常にわかりやすい資料を出されております。ここには、暴力団員の数も書いてあれば、暴力団員が起こす犯罪の数も書いてあるわけですね。なぜ、交通安全でちゃんと数字を明示して取り組みを進めている、そういったことができるにもかかわらず、この暴力団対策に関しては数字を目標でもいいから示されないのかということは、非常に残念に思うわけです。
 大臣、ここは後ろの方と相談せずに、大臣のお力で、ぜひやはり行動計画というものを、これから検討し、策定に向けて努力をしますということを、ぜひお言葉を聞きたいと思いますが、いかがでしょうか。

小野国務大臣 泉委員はいつも大変厳しい御質問でございますけれども、交通事故などは、道路網の整備ですとかルールを決めるとか罰則を強化するとかいうことで減少していく大方のめどがつきやすいんですけれども、この暴力団に関する問題というものは、私どもも努力をさせていただきながら非常に根絶に苦慮している部分でございます。でき得れば、半減するためには何年かかると申し上げたいところでございますけれども、ひたすら努力するという言葉で御理解を賜りたいと思います。

泉(健)委員 いや、それはやはり、交通安全でやれているわけですから、取り組みをもっと明示をする。そうすることによって、国民の皆さんも一体となって取り組みやすくなるわけですよね。やはり、暴力団というものをこの社会からなくしていくということに一緒に努力していくというために、政府の大きな目標が必要かと思います。
 ましてや、委員長、多分御存じかと思いますが、平成の九年ぐらいからずっと、構成員、準構成員で合計をすると、数がふえている。これは、ゆゆしき事態なわけなんですね。先ほども、私どもの先輩の議員の皆さんが話をしましたけれども、犯罪は非常にやみに潜っている。そしてまた、構成員、準構成員はふえている。これは非常に緊急事態というふうに思っておりますので、ぜひ、この行動計画の策定を重ねてお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そして、今回の改正、先ほども言いましたが、非常にそれ自体はいいことだというふうに思っております。使用者責任を明確にするというのは、それ自体で、対立抗争も減らすこともできるでしょうし、一般市民の巻き添えも減らすことができるかもしれません。
 私は、ことしはアテネ・オリンピックの年でもありますから、この暴力団対策、先ほども行動計画の話がありましたけれども、ホップがやはり暴対法の制定だと思うんですね。ステップがこの見直しであり、ジャンプは撲滅をした後のさらに次の社会のビジョン、暴力団がいなくなったその社会のビジョンというものを皆さんと一緒に考えていきたい。この三段跳びの考え方で暴力団対策に取り組んでいきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小野国務大臣 通常のオリンピックと違ってことしのオリンピックは、そういった意味では、大変厳しい状況をまさに想像しているところでございますけれども、御指摘のございました先生の御意見を踏まえながら、さらに政府といたしましても強力な施策を推進してまいりたい、そのように考えているところでございます。

泉(健)委員 しかし、残念ながら、この改正のステップがどうやら小さいステップになりそうなんですね。そこが我々非常に残念に思っているところです。
 先ほども言いましたが、暴力団員の総数、構成員、準構成員が変わっていない、そしてさらには、刑法犯を犯す暴力団員、一般の犯罪を犯す暴力団員が非常にふえてきている。これは、シノギが厳しくなってきた、質的な変化をしてきた、あるいは外国人犯罪グループとの連携によって、そういった強盗や殺人、拉致、そういったものがふえてきているというふうに私も把握をしております。
 そういう中で、先ほど大畠議員の方からも話がありましたが、従来の暴力団という認識では、やはり質的変化を遂げている現在の暴力団、組織犯罪に対応できていないのではないかというふうに危惧をしております。これまで、ピラミッド型であり、非常に統制のとれた暴力団、時には命令をして、これ以上抗争を起こすなということもある程度効力があった暴力団から、もうだれが構成員だかわからないし、しかし上にお金は流れているという構図が、やはり皆さんも御承知のとおりかと思います。
 そういった中で、この暴対法二条の二号、「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」ということで暴力団の定義づけをされておりますけれども、私は、この適用を、文字だけ読めば十分、外国人犯罪グループも含めて適用できると思うんですね。指定暴力団というのはそこからさらにまた要件が幾つかありますけれども、やはりこういったものの中に、しっかりと、こういった新しい窃盗グループ、犯罪グループも、常習をしているわけですから、盛り込んでいくべきではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

小野国務大臣 暴対法というのは、暴力団を、その構成員が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体と定義をしておるわけでございますけれども、御指摘のとおり、暴力団は、任侠集団と申しましょうか、そういうようなものではなく、組織を背景といたしました犯罪を行います典型的な組織犯罪の担い手という言葉がいいのかどうか、そういうものと認識をしているわけでございます。
 ですから、従来から警察は取り締まりの徹底と暴対法の運用及び暴力団排除活動の推進を柱といたします対策を推進しておりますけれども、近年は、暴力団が、いわゆる来日外国人犯罪組織等のさまざまなグループと連携をいたしておりますところが、さらに悪質化あるいは巧妙化をしているというふうなところが傾向ではないか、そのように考えております。
 このような状況を踏まえますと、今般の警察法改正によりまして新設をされました警察庁組織犯罪対策部におきましても、暴力団のみならず、薬物・銃器犯罪組織及び来日外国人犯罪組織等に関する情報を一元的に集約、分析し、戦略的な捜査調整を実施することなどによりまして、暴力団を初めとする各種の犯罪組織に対して、より効果的な強力な対策を推進していく必要があるものと認識をいたしておりますし、それなりの効果が必ずや生まれるものと期待をしているところでございます。

泉(健)委員 こういった一つ一つの問題を考えていく中で、計画がないというのはやはり非常にアクセルがかかりづらいんですよね。そういった意味で、先ほど一番最初に言いましたが、計画の必要性というものを感じていただけると思うんですが、一生懸命取り組みますというのは、これはもうどなたもおっしゃられるわけですから、やはり計画性を持って頑張っていただきたいというふうに思います。
 今回、改正の中で、抗争絡みの凶器を使った暴力行為というふうに限定をされた上でこの改正をなされておりますけれども、この理由についてお伺いをしたいと思います。

近石政府参考人 対立抗争等は、一般的に、暴力団の代表者等の統制のもとで組織的に行う不法行為の典型でありまして、ここにおける代表者等は、配下指定暴力団員に対しまして指示命令を発する立場にありますことから、これに伴い発生する不法行為につきまして代表者等に損害賠償責任を負わせることとしたものであります。

泉(健)委員 なぜそういったことに要件を限定したのかということの説明をお願いしたいということです。

近石政府参考人 対立抗争等につきましては今申し上げたとおりでありますけれども、他方で、暴力団員等は、全国津々浦々と申しますか、全国各地でさまざまに連日のごとく違法、不法行為を行っておりますけれども、対立抗争等のように、代表者等の配下、指示命令のもとに行ったというふうにもなかなか言えない。また、類型的に、いろいろなさまざまな犯罪行為、違法行為が組織活動であるというふうにも言うに足る実態というのは我々として把握しておらない現状であります。
 しかし、本制度が適用されない場合であっても、代表者等につきましては、従来の民法七百十五条または七百十九条、共同不法行為等所定の要件を満たせば、これらの規定に基づく責任追及がなされるものというふうには承知しております。
 また、議員の御指摘も踏まえ、今後は、本制度の対象となる不法行為の範囲の拡大を含めて、その被害回復の充実を図ることについて真摯に検討してまいりたいというふうに考えております。

泉(健)委員 ぜひ真摯に検討をお願いいたします。
 今回の改正で一番もったいないなというふうに思うのは次から言うことでして、いわゆる構成員によるさまざまな、日常的に行っている不法行為というふうに先ほど表現をされましたが、個人への、一般市民への損害を与える行為があるわけですね。例えば、けんかをして看板を壊した、暴れてお店の中をぐちゃぐちゃにした、あるいはどこかでゆすりみたいなことをした、これは表面化していないものも含めていろいろなものがあるわけです。
 そういったものに対して、やはり何かしら組織をかさに着て、わしはどこどこの者やみたいなことを言う言わないは別にして、やはり市民の側はそう見ているわけですね。この人は組員だ、構成員だというふうに見ている現状からすると、そういった個人へ損害を与える行為について、これは、ですから、抗争絡みでもなく、そういった個人に損害を与える行為について、使用者の賠償責任というものもやはり今後認めていくべきではないか。私はそのように考えますが、いかがでしょうか。

近石政府参考人 今申し上げたとおりでありまして、対立抗争等と違いまして、一般の通常の犯罪、違法行為、不法行為というものは、組織的なもの、また組の代表者、親分ですが、親分の統制のもとにある行為と言うのはなかなか難しい。それで、類型的に暴対法等で使用者責任的な、組長責任と申しますか、代表者責任を立法化するのは今回はなかなか難しかったというのが今までの経緯でございます。

泉(健)委員 なかなか難しかったといっても、先ほどの巻き添えの件数、それもそれで非常に一件一件が大変悲しい事件なんですが、暴力団構成員等の一年間の検挙人数というのは三万八百二十四名、これは平成十四年ですけれども、今回網をかけるものに比べると三百倍ぐらいになるんでしょうか、それぐらいになるわけでして、そういった一般市民の被害を救済できない改正というのは、これが先ほど言った、ステップが小さ過ぎるんじゃないですかという話なんですね。
 今、数字の説明なり理由の説明がありましたから、大臣、ぜひもう一度、この議論を踏まえて御意見をいただきたいんですが、一般市民からすると、相手が暴力団員であれば、それは当然組織をバックにつけている人間として認識をするわけですね。その人間がどんなことをしようとも、びくびくし、脅迫を日常的に受けているような感じで一般市民はとるわけです。我々もそうかもしません、脅迫をされれば。あるいは、ふだんその人がのしのしと歩いていれば、それだけで非常に恐れる存在だというふうに思います。そういった方々が、別に日常生活で過ごしている分には構いませんけれども、何か暴れた、あるいはいろいろ問題行動を起こしたときに、これはやはり組織の責任者というものが責任を負うべきではないかというふうに私は思うわけですね。
 そういった一般の国民の非常に素直な感情に照らして、こういったことについてやはり変えていくべきではないかというふうに私は思うわけですが、多くの検挙事例で、構成員は居直るわけです。賠償金なんか払えない、あるいは損害を与えて、看板を壊した、そんなものはおれは知らぬ、構成員はそう言うでしょう。そして、一般市民はそれに対して、裁判もほとんどができず、泣き寝入りをしている。そしてまた、その使用者、代表者は悠々とたばこをくゆらせながらそのままになっているという現状ですから、ここの点、今の議論を踏まえて、何とか検討していただけないでしょうか。

小野国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、御指摘を踏まえて、真摯に検討してまいりたいと考えております。
○泉(健)委員 私は何度か外国に行かせていただいたこともありまして、そういったところでいろいろ日本の国会の話を聞くと、真摯に検討とか善処というのは無視しなさいなんて話をよく、悲しい話ですが、聞くわけです。私も国会に当選して四カ月、五カ月目ぐらいになりますけれども、言葉というものは非常に大切でありますし、これから日本人にとって、やはり言葉一つ一つが重みのあるものだというふうに思いますので、真摯に検討していただいて、そして結果をまた報告していただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 この点は特に一番大切な点だと思っておりますので、たくさんの被害者が泣いております。ちまたの小さい小さい被害者が、一般市民が泣いているということを覚えておいていただきたいというふうに思います。
 そして、全国、都道府県には暴力追放推進センターというものがあると思うんです、それに類する名前のものがあるというふうに思っております。私は、ここで一つ提案をしたいというふうに思います。
 一つ、先ほどの小さな被害のケースという話がありましたが、私が今回この法案の説明を警察の皆様からしていただくに当たって、実は人的被害、生命の被害や身体の被害、これに関しては統計をいただきました。しかし、先ほど主張したように、財産の被害に関しての統計というものがないんですね。看板を壊した、これも被害届を出せば一応その被害額というものは、時価幾らみたいなものが出てくると思うわけです。そういったものの統計を一度一度ちゃんととっていくことで、これぐらい暴力団によって被害が出ているのか、そしてまた、私もこういうことに対してちゃんと請求をすれば、きっとその財産の回復が行われるんだということが、やはり行われていくべきだというふうに私は思うわけです。
 そういった意味で、この財産の侵害に対する統計、これを今後とっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小野国務大臣 抗争によりまして財産的に被害が生じた場合ということの御質問だろうと思います。
 捜査の一環といたしまして、被害状況の確認は行っているところではございます。しかしながら、抗争によって生ずる財産的被害というのは、建物などのいわゆる物的被害のほかに、営業補償というものもありますし、あるいは負傷によります休業補償というものもありますし、大変多岐にわたっていると現実的には私どもは掌握いたしております。そういった点におきましては、今後、これをどのように考えていくかというのは結構至難なところであるという認識を持ちながら、一応は調べさせていただいている御報告をさせていただきます。

泉(健)委員 この件も先ほどの質問とリンクをして、やはり日常的な傷害なり恐喝なり窃盗というものに対するこういった構成員の検挙、あるいは準構成員にすればもっと多いかもしれません、そういったものがあるわけですので、一つ一つの事案をやはり大切にしていただいて、一般市民の方々に非常に悲しみが訪れているということを忘れずに、こういった財産の回復にも、ぜひ警察の方、力を入れていただきたいというふうに思います。
 そして、この暴対法の法律の部分について、もう一つつけ加えになるんですが、一九九〇年に沖縄で起こった、警察官二名が誤射をされて暴力団員により殺害をされたケース、また、私の地元京都においては、九五年に藤武事件という事件がございまして、大変悲しいことに、現場の警察官が暴力団員からその構成員と間違われて誤射をされて亡くなられるという事件が起こっております。
 私は、これは非常に悲しい事件だと思う一方で、防げたものではないかというふうに思うわけですね。
 私の素人考えかもしれませんが、こういった課に所属をする方々は、割かし私服の方が多いという現状もあると思います。日常的にはそれでいいかもしれません。しかし、こういった抗争が起こった、そして、その抗争の当事者である暴力団の組事務所に当然警察の方々も行くでしょう。そういった危険性が非常に高いときにおいては、従来、恐らく防弾チョッキなりでいろいろとされているとは思いますけれども、やはり外形的に、完全に制服を着なさいというふうには思いません、動きやすさ等々ありますでしょうし。しかし、やはり警察官と多少なりともわかるものを身につけていれば、わざわざ警察官を殺害するということは、まれにはあるかもしれませんが、この沖縄なり京都の事件は防げたのではないかな、私はそのように考えるわけです。
 警察の現場で頑張っておられるこういった方々の命が守られるような対策をというふうに思いますが、いかがでしょうか。

近石政府参考人 三代目旭琉会と沖縄旭琉会の対立抗争事件、また山口組と会津小鉄の対立抗争事件におきまして、警察官が悲惨な殉職事故を起こしたのは御指摘のとおりでありますが、対立抗争事件の発生現場とか、また対立抗争を起こしておる当事者である暴力団事務所へ私服で警察官が出動するというのは大変危険を伴うものでありますけれども、緊急性を要することもありまして、現場において私服で捜査活動を行うこともあり得るのであります。
 私服の警察官が現場に臨場する際には、受傷事故防止に最大の留意が必要であることは当然のことでありまして、防弾チョッキなどの防護用具の着装のほか、御指摘のとおり、警察官であることを表象するジャンパーとか腕章とか帽子等を着用して、事故防止の万全を期しているところであります。

泉(健)委員 私も以前見ましたけれども、警察博物館の方にも見学に行ったことがあります。殉職者の方々一名一名が額におさめられているわけですが、そういった方々が、でも、やはり悲しい事件がふえないことを祈っておりますので、この件についての対策もお願いをしたいと思います。
 そして、時間も少なくなってまいりましたけれども、この暴力団対策ということに関連をして、捜査費のことについてお伺いをしたいというふうに思います。
 といいますのは、やはりこの捜査費、暴力団対策なり薬物そして銃器対策にそのほとんどが使用されているというふうに私も認識をしておりますが、この捜査費を渡す基準、方法、一回の限度額、あるいは最終的なチェック方法について、これまでも議論があったわけでございます。質問を少々飛ばしますけれども、こういった一つ一つの基準、限度額、方法について、やはりまだもう少し説明責任が足らないのではないのか、あるいは制度の不備があるのではないのかなというふうに思わざるを得ません。
 といいますのは、捜査諸雑費制度、これは一つ対策として私もあり得る対策だろうなというふうに思っております。使いやすさという意味では、それはそれでいいでしょう。しかし、使いやすさと、一方で、警察とそういった協力費を渡す人間の不適切な関係を防ぐということも、大臣、これは重要なことだと思いますよね。非常に重要なことだと思うわけです。
 我々が以前に入手した情報の中、資料の中に、さまざまな捜査費の渡し方というものがございまして、ある県では、五万円の金額を渡して、これは情報提供謝礼と。そして備考のところには、後難を恐れてというふうに一言だけ書いてあるわけですね。
 大臣、ここはイメージでちょっと考えていただきたいんですが、捜査費をお渡しする、三千円のお土産を持っていくこともあれば五千円のお土産を持っていくこともある、時には、こうやって五万円ぽんと払ってしまうこともある。私は、この捜査費というものは捜査に適切に使われるべきものであると思いますが、決して相手の生活費になっちゃいけないと思うんですね。その基準が、今は文章になっているものが全くない。支出の基準がないというのが、これは一つ大きな問題だと思うわけです。大臣、いかがお考えでしょうか。

小野国務大臣 協力者あるいは情報提供者、そういう方々に支払います捜査費の基準額については、今委員がおっしゃったように特に定められたものはなくて、そこの所属長が、捜査協力者から得られる情報の価値、あるいは協力の度合い等を総合的に勘案いたしまして、そして謝礼の額を決めているものと承知をいたしております。
 例えば、犯罪捜査等の活動におけるレンタカーを借りるとか、あるいは聞き込み、張り込み等々をする際にお部屋を借りるとか、いろいろなもの、あるいは尾行等のためのタクシー等については、実費を支出しているものと承知をいたしております。
    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

泉(健)委員 その実費の部分はいいでしょう。しかし、私が今問題にしているのは、謝礼として上げる部分ですね。ここは、例えば月三回五万円ずつ謝礼として渡したら、これは立派な生活費になってしまうわけでして、どういう状況は認められる、しかしこういう状況は認められないというのは、やはり一般常識で一つ指針を出せると思うんです。明示できると思うんです。
 そしてまた、私は以前、ある違う省庁の派遣で海外に行ったことがあります。そのときにも、そのときは遺骨収集事業というもので、どんどんどんどん海外の方々に御遺骨を収集するために協力金を渡していくわけなんですが、今その額が膨らんでいて、そちらの方も少し問題になっているわけなんですけれども、要は、基準がなければ、お金は多い方がいいに決まっているわけなんです。
 そういう中で、どんどんこの額が膨らんでいくということは非常によくないことだと思いますし、なぜ警察の方で、我々の今回の方針で一回五千円と決まったんや、ほんま済まぬけど、あんた協力してもろうてるけど、もう今までのようにいかなくなったんやから、ごめんなというような形で、やはり全国的にちゃんと、大臣の指示のもと、基準額、回数、最大限のものというのをしっかり明示すれば、それ以上のものにはならないのではないのかな。これは捜査の費用対効果を上げることにもつながると思いますが、いかがでしょうか。

吉村政府参考人 捜査の現場の話でありますので、私どもの方から答弁させていただきたいと思いますが、今大臣からもお話のありましたように、捜査費というのを見た場合に、実費の部分がまずあります。それから、今委員がお尋ねの件は、そういう部分ではなくて、一人一人の捜査協力者なり情報提供者に幾らお金を出すのかについて基準をつくるべきではないかということではございますが、ただ、結論的に申しますと、今大臣がおっしゃったとおり、情報の価値あるいは協力の度合いということになるんですが、これを具体的に考えた場合に、例えば非常に長い間、時効寸前まで殺人事件の指名手配者が逃げているということについて、普通は、いわゆる一般の市民感覚として、ここにああいう人が実はいますということを教えていただける場合があります。
 そうではなくて、その人間に非常に近い人間から、いわば当該指名手配被疑者を裏切る形で、警察に非常に貴重な情報として協力をいただける場合があります。そういう人に幾ら渡すのかという問題。
 それから、例えば暴力団、あるいはいろいろなテログループもありましょうが、そういう人たちから、いわば固定的に、月一回会って当該組織の内部情報なりなんなりを定期的にいただいている、それも積み上げていきますと非常に捜査上有力な当方のあれになるわけですけれども、そういう場合にでは幾ら渡すのかというのは、これはおのずと、実は、一線では大体幾らぐらい渡すのが相場であろうというものは、これは決まっておりまして、渡す人、捜査員の判断でこれは幾ら渡そう、これはこう渡そうということではありませんで、署長なりあるいは刑事課長なり、あるいは当該いろいろな業務の、警備課長とか、いろいろ組織的に相談した上で、ではこういうものだねということで対応しておりますから、かえって、一律に金額を決めるということになりますと、スムーズな情報収集にむしろ支障を来すのではないかというふうに考えておるところであります。

泉(健)委員 やはり、そういったことをしていると現場の警察官が恐らくさらに深みにはまっていくケースというのがあり得るんだと思いますから、このことについてはこれからもしっかりと私どもも追及をしていきたいというふうに思います。
 最後になりますけれども、先ほど我々の大畠大臣からも話がありましたが、やはり警察の皆様にはこの疑惑解明に向けてぜひ協力をしていただきたいと思います。
 先日「クローズアップ現代」、NHKの番組で、この警察不正経理疑惑について特集がなされました。宮城県のオンブズマンが、最初情報公開をしたら、真っ黒な書類が出てきた、全く何もわからない書類が出てきた。しかし、裁判で勝った後には少しましな資料が出てきたというようなことで、しっかりと皆さんに考えていただければ、もう少し情報提供というものはしていただけるものだと思うわけですね。それを自主的にするのか、裁判が起きないとしないのか、そういう警察の態度が今国民に問われているんだというふうに思います。
 ですから大臣、ぜひとも、我々はこれから各都道府県警も含めていろいろな話をしに行きますけれども、その捜査への協力、我々の捜査への協力、そしてまたオンブズマンの情報公開、そういったものに対しての協力、こういったことについて御決意をお願いしたいと思います。

大村委員長代理 小野国家公安委員長。時間が来ておりますので、簡潔に一言でお願いいたします。

小野国務大臣 わかりました。
 情報公開請求につきましては、各都道府県警察が都道府県の条例に基づきまして適切に対応していくものと考えております。

泉(健)委員 どうも済みませんでした。ありがとうございました。









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