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■衆議院 法務委員会

■平成16年6月8日(水)

法務委員会

裁判所の司法行政、法務 行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件

 

○答弁者

法務大 臣 南野知惠子

政府参考人(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 塩田幸雄

 

 

塩崎委員長 泉健太君。

泉健太委員 民主党、京都の泉健太でございます。

 きょうは、この法務委員会の方での一般質疑ということで、私の方からは、二〇〇三年に成立をしました心神喪失者等医療観 察法について、改めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 といいますのも、実は、ことしの三月の後半から四月の頭にかけて、新聞各紙にこんな記事が載っております。医療観察法、 施行前の改正を検討という記事が各紙に載りました。

 どういうことかといいますと、医療観察法の方で、全国各地に、国公立の病院に、重大な犯罪行為を起こした精神障害者、そ ういった方々の、心神喪失者の入所というか措置入院をさせるための場所を約二十から三十カ所定めるということでこの法律ができていたわけですが、実際のと ころ、ほとんどのその拠点として整備をしようとしていた場所で反対運動、住民の説明会の中でも大きな反発が起こって、合意がとれないというケースが相次ぎ まして、結局のところ、今合意がとれて着工ができたのは三施設だけという状況となっているわけなんです。

 まず、この医療観察法に基づく拠点整備の現状についてお答えをいただきたいと思います。

塩田政府参考人 心神喪失者等医療観察法は、御指 摘がありましたように、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った人に対して適切な医療を提供し、その方の社会復帰を目指すという法律でございます。

 その中心となるのが指定医療機関でありまして、対象となる方に適切な医療を施すことによって、その人の社会復帰を目指す ということでございます。法律上、国立、都道府県立病院で整備をするということになっているところでございます。

 今後三年間で、段階的に全国でおおむね二十四カ所、七百床を確保するということで整備に努めているところでございます が、国立は八カ所を予定しておりますが、御指摘がありましたように、現時点では三カ所程度の整備にとどまっているところでございます。

 都道府県立についても、厚生労働省の幹部総出で整備をお願いしておりますけれども、一、二の都道府県を除きまして、現時 点では必ずしも積極的なお返事をいただいていないというところでございます。

 今後とも、指定医療機関の整備に努めてまいる所存でございます。

 現時点では、三カ所、九十床程度の整備になっているということでございます。

泉健太委員 ということなんですね。対象者とされ る方が年間に大体三百人ぐらい出てくるというふうに言われているわけですけれども、今お話がありましたように、国立の場合ですと八カ所中三カ所ですか、都 道府県立の場合は十六カ所中一カ所というようなお話です。病床数でいいますと九十九床。とてもこれは足りないということは、これは小学生でも、足し算がで きればわかるお話なわけですね。

 さて、そういう状況で、今、新聞報道ではありますけれども、この法律を施行前に改正するということについて与党と協議に 入るということがこの新聞報道ではなされているんですが、現在の与党との協議状況はどうなっていますでしょうか。

塩田政府参考人 先ほど申し上げましたこの法律の 準備状況について、関係の先生方に個別に状況を御説明しているという段階でございます。

泉健太委員 それでは全然わからなくて、どんな改 正を今考えられているんですか。

塩田政府参考人 現段階では、法律の施行状況を説 明するとともに、確保を考えている指定医療機関の整備がかなり難しい状況にあるということを御説明申し上げているところでございます。

 私どもといたしましては、法の施行に向けて、今後とも、国の施設の整備はもちろんですけれども、都道府県に対して一層の 要請をして最大限努力をするということでございます。

泉健太委員 具体的には今何もないということでよ ろしいんでしょうか。

塩田政府参考人 法律の施行は公布の日から二年以 内ということでありまして、七月十五日までの施行ということになると思いますが、現段階では法律の施行自身に支障はないと考えておりますが、長期的に見 て、今の整備がなかなか進まない状況が進んだ場合には、法律の円滑な運用に支障が生じるおそれもありますので、私どもとしては、いろいろな事態を想定し て、その場合にどういうようなことを考えるべきかについては、法務省とも相談しながら、そのときの対応策については部内的にはいろいろ検討をしているとい うことでございます。

泉健太委員 その検討の中に入るのかどうか、恐ら く入れているんでしょうが、新聞報道では「都道府県立精神病院を代用するなどの経過措置を新たに盛り込む方向」だということで載っておりますが、これは事 実でしょうか。

塩田政府参考人 この法律の中心となる指定医療機 関につきましては、法律上、かなりの専門性を有する医療機関であることと公共性がある医療機関ということで、国と都道府県立に限られているところでござい ます。

 そういった観点から、必要な病床を確保するためには国あるいは都道府県に協力をしていただく以外に方途はないわけであり まして、やはり国はもちろんこれから最大限の努力をいたしますけれども、法律の趣旨からしますと都道府県にいろいろな形で協力をしてもらうという形での解 決の方途を模索することが不可避ではないかと考えております。

泉健太委員 そもそも、この法律は審議がされてい たころからやはり大きな問題が多々ありまして、私たち民主党もこれは反対をしていたわけなんです。

 やはり、そもそも犯罪を種別によって、その犯罪が重大犯罪だったからといって、その人たちを集めてこういった形での拠点 を整備するということが、果たしてそれが差別につながらないのかということは多くの指摘がなされていたところでして、そういったところで、全国各地、いわ ゆるそういう施設というものが自分の家の近く、地区に来るのはとてもかなわないというような方々が、こうして印象として持ってしまっているわけですね。

 現在でも都道府県立の精神病院あるいは民間の精神病院というのはあるわけですが、そういったものの中で私たちは全体の精 神医療の水準を上げていくべきだということを常に提言してきたわけなんですけれども、残念ながら、こうした形で重大な犯罪行為を起こした者を別に処遇する ということになってしまったものですから、実際にこういった住民から多くの反対運動も起こっているというふうに私は考えております。

 そういった中で、今お話がありましたが、結局のところ、まだ何もその整備について具体的に進んでいないというような話で す。実際に、ことしの十二月ぐらいにはもうこの九十九床のままでは当然満杯あるいはあふれるという状況ができてくると思うんですが、そこまでに対応は間に 合うというふうに考えてよろしいですか。

塩田政府参考人 原則は、法律が想定する本来の形 の指定医療機関の整備に最大限努力するということになりますけれども、仮に本来の指定医療機関の整備に不足を生じるという場合があるとすれば、それに対し ては、法律の趣旨、精神障害ゆえに重大な犯罪を犯した人に対して手厚い医療を施してその方の社会復帰を目指すという本来の趣旨に沿った医療が提供されるよ うな形で、何らかの代替的な対応についても検討することが不可避ではないかと考えております。

泉健太委員 やはりその代替的な対策ということが 何を指すかだと思うんですね。

 もし仮に、都道府県立精神病院を代用するということになりますと、これは当然一般病棟というものがこれまで精神病院にあ るわけですけれども、その一般病棟の、病院の中に増築をしたりあるいは新築をしたりということで、そこに人員を整備し、あるいは設置の基準に合った建物を つくりということで考えてよろしいんでしょうか。

塩田政府参考人 現時点では本来の指定医療機関の 整備に努めるということが大原則でありますけれども、仮に指定医療機関の整備が、準備が整わないというケースについてどう対応するかということでありまし て、これから関係の方々、まずはこの法律の立案に当たっていただいた先生方、いろいろな関係者の意見を聞いて、どういう対応ができるかということを検討す るということでございますが、精神疾患ゆえに犯罪を犯してしまった方々への手厚い医療をきちんと提供するということが基本でありますので、そういう本来法 律が求めている医療の水準、それから現実に都道府県が対応できる限度、そういったものを関係者の意見をよく聞いた上で、どういうことが対応可能かについて 英知を集めて対応を検討することになるのではないかと考えております。

泉健太委員 これから専門病棟に改築なり増築をし ていく場合に、そうすると、一般病棟への受け入れ体制、一般の患者さんですね、そういったものにも影響は出てくるということはあると思うんですね。まずそ のことについてお答えをいただきたいのと、今回の場合は特に指定入院医療機関が恐らく足りなくなるだろうということなんですが、そういった中で、さらに玉 突きのように、通院医療機関の指定あるいは整備ということについては、今のところおくれ等々はないんでしょうか。

塩田政府参考人 指定通院医療機関の方につきまし ては、おおむね順調に指定作業が進んでいると考えているところでございます。

 それから、この法律に基づきます医療は国または都道府県の医療機関で提供するということでありますけれども、元来、精神 保健福祉法では、国とか都道府県は精神医療において専門的な公共性の高い医療を提供するのが本来の役割でございますので、本来の形からすれば、都道府県立 あるいは国立病院は、こういった法律に基づく手厚い先駆的な医療をするという意味で、こういった分野を優先的に対応していただくのも一つの考え方だと思い ます。

 各都道府県、公的な医療機関のあり方について、行革の観点とかいろいろなあり方について模索されておりますけれども、そ ういう中で、県立の病院のあり方として、一般の精神医療ではなくてこういった分野を重点的にやるということで方向づけをしていただくことは、都道府県立病 院のあり方としてもあり得る話だと思います。

 仮に都道府県にお願いするにしても、県立病院としての一般病棟への影響がある形であれば、それぞれの県でそういう専門病 棟の整備ができないわけですから、どこに現実の着地点を求めるかについては、個別の都道府県とよく相談した上で対応していただくということに当然なると 思っております。

泉健太委員 全国で説明会というものを開かれてい るわけですが、これは説明会の方には厚生労働省と法務省からも人は出ているんでしょうか、それぞれお答え願います。

塩田政府参考人 現在までに百回を超える説明会 を、地元の住民の方々でありますとか地元の議会でありますとか、やってきておりますが、中心的には私どもの厚生労働省のスタッフが行っておりますが、ケー スによっては法務省の方にも参加して、対応させていただいております。

泉健太委員 法務省の方もそれでよろしいですね。

 その中で、これはあるケースなんですが、国と市は日程の案内を市報には掲載せず、病院周辺の自治会にしか伝えなかった、 例えばこういった説明会を論争の場にしたくなかった、これは市の障害福祉課のコメントで出ているわけなんですけれども。説明会を開かれるときに、国は地元 住民に対してどういった観点で情報を伝達しようというふうにお考えでしょうか。

塩田政府参考人 指定医療機関整備に当たっては、 地元の理解をいただくということは不可欠の要素でございます。そういった観点で百回を超える説明会をしておりますが、説明会の開催に当たりましては、まず 地元の市町村にどういう形で地元の住民の方に広報することがいいのかということを御相談申し上げまして、それぞれの市町村のお考えに沿って公報に載せたり 載せなかったりという対応をしているところでございます。

泉健太委員 そのときに、説明会の中で、それはい ろいろと施設の概要ですとか今後の運営の仕方について具体的な中身ということにも触れられてはいると思うんですが、いわゆる理念、考え方、精神障害者の福 祉の向上ということについて、しっかりとした説明はなされているんでしょうか。

塩田政府参考人 その場その場できちんと説明して いると思いますが、先生から御指摘ありましたように、この法律というのが、日本の精神保健福祉医療の向上につながる施策でありますし、逆に言うと、日本の 精神保健福祉の向上を図る観点、その一環としてこの指定医療機関を位置づけるということが不可欠の要素だと思いますので、こういう今度の法律の趣旨、また 地域の精神保健福祉の向上を図る観点からこの施設が位置づけられるというようなことについても、きちんと地元に説明できるように今後とも努力したいと思い ます。

泉健太委員 私たち民主党は、先ほども言いました が、そもそも犯罪の種別によってこういった心神喪失者の受け入れ先というものを変えるべきではないということを言ってきたわけなんですけれども、こうして 法律が通ってしまった以上は、それは政府にしっかりとした説明責任あるいは理解をしていただくということが当然あるわけでして、そういったことからも、ぜ ひこれは、しっかりと再犯を起こさないために、また、各施設、安全対策も十分にとっているんだと。

 いろいろ聞きますと、厚生労働省の方では、いわゆる精神障害者が医療機関から逃げ出したことについてはどうやら逃亡とい う言葉は使わないというお話もちらっと聞いて、無断退去ですか、何かそんな言い方もするらしいですね。脱走、逃亡という言葉は使わないらしいのです。

 とはいえ、それは一般の皆さんにしてみれば、そんな建前論なんというのはどうでもよい話でして、しっかりとした安全対 策、きっとこれはとられているんだろうと思いますから、堂々とやはりそこは説明をして、そして真っ正面から御理解をいただくということもしていただきたい と思います。

 決して情報を隠していいことは全くありません。どんどん不信感が出てくるだけだというふうに思いますので、やはり政府と してこの法案を通した以上は、こういう施設がこの国には必要なんだということをしっかりと強く訴えて、そしてその本論から住民の皆さんにも御理解をいただ く努力をもっとすべきだということも私はお伝えをしておきたいというふうに思います。

 そういう中で、今この施行前の法改正についていろいろお伺いしましたけれども、現在のところ、今のお話では、ことしの七 月十五日が施行期限ということですけれども、このまま施行するのか、あるいは法改正をするのかというところなんです。

 済みません、もう一度お伺いをします。法改正を予定しているのか、それとも現在の法のままで何とか解釈なりで乗り切って いこうというお考えなのか、そこについてもう一度お聞かせください。

塩田政府参考人 現段階では、法の施行に向けて指 定医療機関の整備に万全を尽くすということでございます。そして、三カ所整備が進んでおりますので、法の施行自体には支障がないと考えているところでござ いますが、このまま指定医療機関が整備が進まないという状況が進んだ場合には、法の円滑な施行に支障が生じることも想定されますので、法律の趣旨に沿って 御本人たちに適切な医療を提供できるにはどういう形の対応策があるかについては真剣に考えるということであります。

 先生御指摘があったように、この法律によって、日本の精神保健福祉の向上につなげていくことも可能ですし、逆に言えば、 日本の精神保健福祉の全体を向上し、地域で精神障害者が暮らせるという意味でこの施設が必要不可欠な施設だということをきちんと説明した上で、そういうも のが実現するために国、都道府県はどういう役割を果たすのか、今の法律だけでその責任を果たせるのかどうかについては、法律の施行後も真剣に法務省とも御 相談させていただいて、もちろん、この法案、委員会で真剣な議論をして成立させていただいた法案ですので、関係の先生方にもよく相談した上で、どんな対応 が可能かについて考えたいと思っております。

泉健太委員 少し細かい話なんですが、今の厚生労 働省の検討されている方向の中で、都道府県立精神病院を代用するということになりますと、本来、国公立の病院で体制を整備しようとしていた。そこには、当 然のように、人員配置についてはかなり一般の精神病関係の水準よりも手厚くされているわけでして、この人員の確保ということがまた課題に上がってくると思 うんです。

 その中で、独立行政法人なり国公立の病院に本来的には勤めるということで現段階から話をしているケースがあるのかどう か、それは少しわかりませんが、そういった人員の確保をしているときに、これが都道府県立病院で仕事をするということになった場合のその人の雇用は、これ は都道府県の雇用ということになるのか、それとも、とりあえず経過措置なので国の方の雇用ということになるのか、どちらなんでしょうか。

塩田政府参考人 本来この法律が想定したレベルの 高い医療を確保するための医療機関の整備を目指すということが大原則でありまして、仮に都道府県に補完的な対応をお願いするとしても、それはあくまで暫定 的なものであって、将来的にはちゃんとした本来の形を目指すということでございます。
 
 あくまで、これはまだ都道府県とも全く御相談しておりませんし、立法府の先生方とも正式な形で御相談しておりませんので、今の段階でどうこう言える熟度 に到達しておりませんが、今御指摘の範囲内であれば、当然県立病院のスタッフであれば県の雇用ということだろうと思います。

泉健太委員 時間も限られておりますので、次の質 問に移らせていただきたいと思いますが、その前に大臣に、きょう法務大臣お越しいただいていますので、今こうして体制整備がおくれているという現状があり ます。そして、体制整備がおくれていても、当然のように毎日裁判も行われ、毎日警察、検察の取り調べも行われ、起訴も行われているという状況で、その対象 者はどんどんふえていっているわけですね。こういう状況について、法務側から大臣の御見解をいただきたいと思います。

南野国務大臣 今るる厚生労働省の方からのお返事 もございました。そのことをしっかり我々サポートし、または、ともにそういう問題点を考えていかなければならないと思いますが、今先生がおっしゃったよう な課題もそれに含まれております。

 七月十五日を目途と精いっぱい努力したいというふうに思っております。

泉健太委員 ぜひ精いっぱい努力をしていただきた いと思います。

 次に、私たちが、国会答弁の中で当時の坂口厚生労働大臣からの御答弁をいただいたわけですけれども、平成十四年十一月二 十九日の法務委員会厚生労働委員会連合審査会というものがありまして、この中で、いわゆる七・二万人の社会的入院患者の解消ということをどう図っていくか ということの話し合いがありました。

 その中で、当時の坂口厚生労働大臣が、「これは前にもあるいは申し上げたかもわかりませんが、今までは一応十年というふ うに言っていたわけでございます。」そして、「何も十年かかろうというふうに初めから思っているわけではございませんで、できる限り十年を縮めていくこと ができればというふうに、率直にそう思っている次第でございます。」というような御答弁をしていただいております。これは平成十四年の十一月なんですね。

 それから、私たちも、大変すばらしい答弁だということで、この七・二万人の社会的入院患者を十年間で解消してくださるん だなということで思っていたんですが、どうもその後、政府の対策が進んでいないという現状を見ましたときに、これはいつかまでにちゃんとできるんだろうか というような不安がどんどん強くなってまいりました。

 そして、実は、昨年の十一月に、私どもの方で、山井衆院議員が内閣に対して質問主意書を出したわけです。その中では、必 要な期間を一応十年を目標としつつということで、結局、いつから十年が始まったのかが一切書いていない、あるいはまだ始まっていないのかもしれないという 状況で、この社会的入院患者の解消はいつまでに図られるのか、これを御答弁いただきたいと思いますが、厚生労働省、お願いいたします。

塩田政府参考人 この医療観察法の議論の際に、日 本の精神保健福祉の向上を図ることがこの法律の理解を深める上で不可欠だ、そういう結論になったと思いますし、その際に、当時の坂口厚生大臣の方から、向 こう十年間で七万人という社会的入院を解消したいという御答弁を差し上げているところでございますし、当然、その時点からの十年ということだろうと考えて おります。

 坂口大臣は、国会でのやりとりの後、直ちに大臣自身を本部長とする精神保健福祉対策本部を省内に設置いたしまして、省を 挙げての取り組みをしているということでございまして、七万人という社会的入院を解消するには、精神科病院の医療の改善のみならず、地域の受け皿が必要だ ろうということでありまして、押し出す側と受け取る側の両方の改革が必要だということであります。

 そういった観点で今国会に障害者自立支援法案というのを提案しておりますが、その中で、従来必ずしもはっきりしなかっ た、市町村が精神障害者の方々に対して計画をつくって地域の受け皿をつくるということもしておりますので、この法案の際に議論となった地域で精神障害者が 住めるための対策については、省を挙げて取り組んでおりますし、今後とも最大課題として取り組んでまいりたいと考えております。

泉健太委員 今の御答弁で、平成十四年からもうス タートをしている、この大臣の御答弁の後からもうこの十年というのはスタートしているんだということで、御回答いただきました。そうしますと、平成二十四 年までにはこの問題は解消というふうに、答弁をいただきましたので、私どももそういう認識を持っておきたいと思います。

 残り五分間ぐらいになりましたが、もう一つ大変重要な問題を質問させていただきたいと思います。

 思い切った質問というか、一つの大きな原則を一気に変えることはできないとは私も思っておりますけれども、いわゆる医療 観察法の中でなぜ今さまざまな問題が起こっているのかということの中に、刑法三十九条の問題があるというふうに私は思うわけなんです。

 精神障害者が事件を起こした場合の法手続の中で、検察官が起訴前精神鑑定ということをするわけですが、このほとんどがい わゆる簡易鑑定という、費用も安く時間も短い、この鑑定の中でまず判断をされる。

 そして、実は、心神喪失者、心神耗弱者と認められた者の処分結果というところで見ますと、裁判に至ったケースが平成十五 年で八十九例、これは全体の一二・八%、不起訴に至ったケースが六百四件、八七・二%ということで、ほとんどが不起訴になっているわけですね。

 こういった簡易鑑定の末、不起訴になっているという状況でいきますと、実は、事件を起こした精神障害者というのは、まず 裁判を受けられていないケースが多数存在をしているということが問題であります。

 そして、なぜこういった事態が起こるかというと、実は、刑法三十九条では「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の 行為は、その刑を減軽する。」というものがありまして、公にはなかなか言われていませんが、やはり検察サイドとしては、立件をしても残念ながらなかなか裁 判が進まない、結局のところ減軽あるいは無罪ということになってしまうので、余り裁判に至らせたくないというようなことも聞いております。

 そういった中で、この三十九条というもの自体も、ある一方では一つの刑法の原則ではあるものの、もしかすると、これは逆 に精神障害者に対する特別な扱いということでの差別にもつながるのではないかというような論も、最近少しずつですが、刑法学者の中でも広がりつつあるとこ ろです。

 そういった中で、小泉首相が、あの大阪の池田小の事件のときに、ちょうどテレビ収録の中で発言をされました。刑法の改正 を視野に法的不備の対応をということで発言をされているわけですが、法務省、この小泉首相の発言について、その見解と対応をどのようにされていますでしょ うか。

南野国務大臣 先生御指摘の総理の御発言につきま しては、一般論としてお答えしたいというふうに思っております。

 精神障害に起因する事件の被害者を可能な限り減らしていこう、また、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者が精神 障害に起因するというような不幸な事態を繰り返さないようにするためにはいろいろな対策が必要であろうということの趣旨であった、これは一般論でお答えし たいというふうに思っております。

泉健太委員 もう時間がありませんので、最後の質 問にします。

 本当はもう少し深く掘り下げたかったんですが、この刑法三十九条を定めている理由、これを改めて法務大臣に一度お伺いを したいというふうに思います。

 近代刑法の中で一つの原則として定められたわけではありますが、現在、被害者感情あるいはその犯罪という部分を見てどう 裁くのか、さまざまな原則、各論が述べられておりまして、そういう中で一度法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

南野国務大臣 先生お尋ねの刑法第三十九条といい ますのは、「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」という規定がございます。

 そういう意味では、心神喪失者とは、精神の障害によりまして、事物のことわり、善悪を弁識する能力がない、識別する能力 がないか、またはこの弁識に従って行動する能力のない者でありまして、心神耗弱者とは、そのような能力が著しく劣っているというようなことでございます。 そういう原則の一つである、責任主義の原則というところに基づいているということを御報告できると思います。

泉健太委員 以上で終わります。

 






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