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衆議院厚生労働委員会

平成16年11月12日(金)

児童虐待防止・国の少子化対策について

答弁者
厚 生労働大臣 尾 辻秀久君
厚 生労働副大臣 衛 藤晟一君
政 府参考人(警察庁刑事局捜査第一課長) 菊 谷岩夫君
政 府参考人(法務省大臣官房審議官) 山 下進君
政 府参考人(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 伍 藤忠春君

鴨下委員長
 次に、泉健太君。

泉(健)委員 委員長の御配慮に感謝を申し上げます。
 大変長時間にわたる質疑でございます。京都の泉健太でございます。
 実は私も先月子供が生まれたばかりでして、別に少子化のために産んだわけではないんですけれども、やはり子供を産みたい人が産める、育てたい人が育てら れる、そういう社会というのは本当に大切だなということをまたさらに強い思いを持って今感じているところでございます。
 そして、この審議に当たって、厚生労働省あるいは関係機関のさまざまな資料を私も研究させていただきました。文章の中には非常にすばらしい文章も多々見 受けられました。しかし、そういったものがやはり——私は、少子化率、いわゆる出生率の一・二九ショックというのがありますけれども、それと同じように、 例えば男性の育児休業の取得率が〇・三三というのは、ある意味でショック的な数字だというふうに思っております。そして、その数字が、きょうの質疑でも明 らかになりましたが、この霞が関内においても同等であるということも、なおのこと、ショックでありますし、これをさらに改善をしていかなければならないと すれば、まずはやはり霞が関から、特にこの所管である厚生労働省から御努力をいただかなければならないなというふうに感じております。
 そういう中で、全国の皆様にもぜひ紹介をさせていただきたい文章というのがあるわけですが、平成十四年の九月十三日、少子化社会を考える懇談会というと ころの中間とりまとめがございます。もちろん大臣ももう既に御認識かと思いますが、ここの「序」というところには、
 (いのちあるものと共に生きる喜び)
  二十世紀は、物の豊かさや技術進歩による便利さに幸せを感じる世紀でした。そして、夫が外で働き妻が家事と育児を担うという役割分担が一般的な時代で もありました。ところが最近は、そうしたことよりも、好きな人と一緒に過ごすことに幸せを感じるという人が、多くなってきたように思われます。技術文明の 成熟は、かえって「いのちあるものと共に生きる」ことを、最大の価値と感じさせるようになったのです。二十一世紀は「いのちの世紀」と言うことができ、歴 史の大きな転換期にあるといってよいのではないでしょうか。
  現代は先行き不透明な時代であるといわれます。お金だけでは安心が得られない時代には、生まれ育つ「いのち」とともに生きることが、何ものにも代え難 い喜びであり、子どもがいることによってはじめて得られる励ましや元気が、大きな心の支えにつながるのではないでしょうか。
  「いのち」の中でも、子どもはいわば「未来からの預かりもの」です。こうした特別ないのちだからこそ、社会みんなで愛おしんでいく必要があると思われ ます。
大変すばらしい文章だと思います。
 この「生まれ育つ「いのち」」というのは、もちろん第一義的には家庭、親の喜びであると思うんですが、やはり社会全体という意識を私たちは常々持ってい なければならない。ですから、他人の子供が生まれても、同じようにある意味で喜びますし、そして、それを一緒に育てていこうという意識を互いに持ってこの 委員会の審議にも臨ませていただきたいというふうに思っております。
 まずは、ちょっと違う問題について触れさせていただきたいというふうに思っております。
 まず第一点は、先日の大臣とのやりとりの中で、虐待に関する施設、あるいは当事者からの声をぜひとも聞いていただきたいというお話をさせていただいたわ けですけれども、先日、八日の月曜日に、大臣、御視察に行かれたというふうにお伺いをしております。たしか東京都の新宿かどこかの児童相談センターという ふうにお伺いをしておりますが、そのときの感想、そして今後の決意について、改めて端的にお伺いしたいと思います。

尾辻国務大臣 短時間でございましたけれども行かせていただきました。そして、いろいろなお 話を伺ってまいりました。
 一言で言いますと、これはやはり大変だなと。大変だなというのは月並みな表現になってしまうんですが、本当に今私の言葉で率直に言えとおっしゃると、ま さしく、ああ大変だなというのを感じて帰ってまいりました。

泉(健)委員  もう少し具体的にお話をいただきたかったと思うんですが、大変なことはもちろんもうずっと以前から大変なわけですので、そこからさらに担当の部署に声をか けていただいて、しっかりとそういった問題点が解消するように。特に人員配置の面あるいは施設の面、両方とも不足をしている状況でございます。
 先日も指摘をしましたが、中核市における設置というものがこの児童福祉法で言われていながら、もう既に中核市には都道府県が置いた児童相談所があるとい うところで、施設の重複という問題も、これは本当に国がしっかりと問題を各都道府県に指摘をしなければ、多分そのまま進まないという状態になると思います ので、ぜひともそちらの方もお願いをいたします。
 そして、もう一件児童虐待で、これは最近の事例というか、新しい動きですので、ちょっと見解をお伺いしたいと思います。
 といいますのは、十月の十八日に、奈良県の県警捜査一課と生駒署が虐待をした親を逮捕したわけです。逮捕をしたんですが、これまでは、普通は、傷害罪、 外傷がありまして、その傷害ということでの逮捕ということだったわけですが、今回の場合は、いわゆる被虐待児症候群ということの傷害罪で逮捕をした。そし て地検の方が起訴をしたという極めて珍しいケースであります。
 これについて、きょうは各方面の方々をお呼びしておりますので、まず警察の方から、この被虐待児症候群での逮捕、これはどういった要件をもって逮捕をさ れたと。例えば加害者からの事情聴取の上で判断をした、あるいは医師の診断書とか、例えばそういったものを具体的に申し述べていただければと思います。

菊谷政府参考人 御指摘の事案につきましては、奈良県警察が傷害罪で逮捕したものでありまし て、一般的には、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があって、かつ逮捕の必要性がある場合に逮捕状を請求し逮捕をいたしているところでございま す。
 今回の件につきましては、医師の診断や関係者からの事情聴取などからこれらを疎明する資料が得られたものとしまして逮捕したものと承知をいたしておりま す。

泉(健)委員 これは、その場で外傷がないので、もしかすると、これまでなかなか警察が手を 出せなかったケースかもしれないなというふうに思っております。
 というのは、我々が視察に行きました栃木県小山のケースでも、警察がしっかりとその時点で逮捕に踏み切れなかったという部分もあります。あるいは、これ は岸和田の本当に有名になったケース、去年の十一月に発生した事件ですけれども、このときも、虐待を受けた長男の弟の次男が被虐待児症候群と診断された が、証拠がそろわないなどで立件は見送られたということもありました。
 これは、お答えが可能であればですけれども、岸和田の場合、証拠がそろわなかった部分、これは何か理由を把握されていますか、なぜ証拠をそろえられな かったかについては。本人か、あるいは周囲からの聞き込みが足りなかったのか。

菊谷政府参考人 委員御指摘の岸和田の案件につきましては、具体的なことは、申しわけありま せんが、承知をいたしておりません。

泉(健)委員 やはりこれは新しい傾向だというふうに思っております。
 ただ、例えば、子供さんを何らかの機会に診断をしたときに、どうも様子がおかしいというところから症候群であるというふうに診断をされて、そしてそこか ら親の逮捕に至る、例えば学校の健診とか、あるいは別なけがで病院に行った先での病院とのやりとりの中で子供の異状を発見したとか、いろいろなケースがあ るかもしれません。そういった意味では、少しその対象が広がったというか、安全を確保するボタンを押す先がふえたのかなというふうには思っているんです が、一方では、症候群があらわれたからといって、これですべてのケース、逮捕をするということになるのかどうかという問題もあるんですね。
 例えば、場合によっては、症候群であっても、親ももう改善の方に向かいつつある、そういうケースで親を逮捕してしまうことは、これは親子の分離というこ とが当然出てきますし、逆に、親子関係の再構築、良好な家庭環境の再構築というところで、逆にハードルになる可能性というのも私は感じるわけでございま す。
 この辺について、警察は、今後、例えば何をもってこういった、もちろん事例によるとは思うんですが、最低の要件みたいなものがあるのかないのか、その辺 についてお伺いしたいと思います。

菊谷政府参考人 今の委員の御指摘でありますが、私ども警察としては、いずれにいたしまして も、法と証拠に基づいて、個別の事案に応じて厳正かつ適切に対処してまいりたい、かように考えております。

泉(健)委員 お答えいただければ結構ですけれども、今回の奈良のケースでは、当該地域の児 童相談所と連携、連絡というのはとっておりますか。

菊谷政府参考人 逮捕に至るまでは連携等はございませんでした。

泉(健)委員 そこはぜひとも私から三点要望したいと思うんです。
 一点は、こういったケース、警察と医師との連携だけで、医師が例えば診断をした、そして警察が事情を周囲から聞き込みをしたということだけで逮捕をする ということになると、時には、これは親子関係というところからいけばよくないケースもあるかもしれません。かといって、それを野放しにするという話ではな くして、私は、こういった同様の事例のときには、ぜひ児童相談所とも連携をとっていただきたいというふうに思います。
 そしてもう一つは、医師の診断というものをやはり明確にとっていただくようにしていただきたいということが二点です。例えば、警察内でも心理判定士です とかいろいろな方々、警察内で相談業務をしている方がおられますから、そういう方が、これはそうじゃないかというふうに感じる部分もあるかもしれません。 しかし、やはり専門の医師からしっかりとこういった診断というのをとっていただいた上でというふうに、私は約束をしていただきたいというふうに思います。
 実は、これも含めて三点目は、やはりこういった症候群を扱うことによっての逮捕ということに関しては、新しいこともございます。これから、ある意味で積 極的に取り組んでいただきたい部分もありますので、現状でガイドラインがあればそれで結構なんですが、ないようでしたら、これをぜひつくっていただいて、 厚生労働省あるいは児童相談所、医師と連携をとっていただいて、全国に周知徹底をしていただきたいというふうに思っております。
 ガイドラインは現時点ではございますか。

菊谷政府参考人 児童相談所等との連携でありますが、今後とも個別の事案に応じて適切に対処 してまいりたい、かように考えております。
 また、今御指摘ありましたガイドラインなるものでございますが、この被虐待児症候群の傷害事実による立件に関しましては、今後、実例の積み重ねも踏まえ まして、ガイドライン的なものの作成の必要性についても勉強してまいりたい、かように考えております。

泉(健)委員  この虐待の問題というのは、勉強をされている間にも被害が出てくる問題です。もう事例は幾つも出てきているはずだと私は思うんですね。ですから、それはも う早急におつくりいただくということで努力をしていただきたいというふうに思います。どうか、そこはお約束をいただきたいというふうに思います。
 きょうは法務省にもお越しいただいているわけですが、実は、逮捕ということになって、場合によっては矯正施設というところに入られる可能性というのも当 然あるかと思います、これは事例によりますが。そういう場合に、矯正施設内においては、親指導のプログラムというのは現在ございますでしょうか。

山下政府参考人 お尋ねの児童虐待による行為によって刑に服している者、実は正確なところを まだ把握できておりません。ただ、該当者はあるにしても、現時点ではそんなに大きな数字ではないんじゃなかろうかと思っております。
 そういうこともございまして、こういう人たちに対する処遇の事例を積み上げて、処遇の技法を整理してプログラムにしていくというところまでは、まだ現在 至っておりません。
 ただ、いずれにしましても、受刑者に対する処遇というのは、個々の受刑者が持ち合わせております問題性、これを調査、把握いたしまして、それを本人にも 自覚させ、なお本人にも改善に向けての努力を促すということを基本にしておりますので、そういう一環といたしまして、私どもは部内では処遇類型別指導と呼 んでおりますけれども、犯罪の行動面に着目いたしまして、共通の問題を有する者については、その者をグルーピングして、そのグループに集中的な特別教育を 行うということをしておりますが、その中には、虐待防止にかかわると思いますけれども、生命尊重の教育あるいは性犯罪防止の教育というものは、実はもう既 に準備しておるところでございますので、それらを手がかりに充実させて、お尋ねのようなケースにも十分対応できるような仕組みをつくっていきたい、そうい うふうに考えております。

泉(健)委員 ここもぜひ今後考えていただきたいと思うんですね。やはり、親指導プログラム というのは、今、もちろん矯正施設外、児童相談所においてですとか、いろいろな団体が研究を進めているところですし、これはぜひ取り入れていかなければな らないというものです。
 しかし、残念ながら、今おっしゃっていただいたように、矯正施設内においては、虐待をした親ということについての分け方でのそういったプログラムという のはないという状況なわけですね。ほかをいろいろ引用しながらという話ですので、ここについてはやはりぜひ、これだけ今注目もされている虐待事件ですの で、これは子供を幾ら保護をしても、親が変わらなければやはりどうしようもない話でございます。
 ですから、ここは厚生労働省と法務省、ぜひ連携をとっていただいて、法務省は法務省なんだから別にプログラムをつくるということではなしに、厚生労働省 の方でも親指導のプログラムについてこれから研究もなされていくと思います。そこの連携をやはりぜひとっていただきたいというふうに思います。
 この件については、この辺にさせていただきたいと思います。本当にもう時間がございませんので、育児・介護休業法について質問をさせていただきたいと思 います。
 まずは、国の少子化対策プラスワン、これは四つの数値目標を出されておりますけれども、端的にお答えをいただきたいと思います。この目標数字というの は、これは理想の数字なのか、当面の目標なのかということについて、大臣、まずお答えをいただきたいと思います。

伍藤政府参考人 こういったことにつきましては、社会実態に応じていろいろ見直しをしていく べきものというふうな側面も強うございますので、当面の目標というふうに私ども理解をして目標を掲げておるところでございます。

泉(健)委員 理想の数字というものをもし持ち合わせているのであれば、お答えをいただけま すか。

伍藤政府参考人  すべての制度について一〇〇%実現するということが理想的ではあると思いますが、現実の社会問題で、企業の実態、社会の実態、それから社会意識、こういっ たいろいろなものがかみ合わさって、目標といいますか、具体的な施策は進んでいくものでありますから、私どもは、今言いましたような、やはりその足元を踏 まえて当面の目標というものを設定することがまずは現実的なことではないかということで、政策を進めておるところでございます。

泉(健)委員  そうですね。やはり制度をつくった以上は、理想であるかもしれませんが、一〇〇%というものをもちろん目指していくという話だと思うんですね。やはり、そ こからすると、余りにもスピードが遅いのではないのかなというふうに思うわけです。この一〇%も、これを達成しなかったからといって、恐らくだれも責任は とらないんでしょう。とられる方はいらっしゃいますか。

尾辻国務大臣 急に、責任をとれというものではないと思います。だれかとるのかと言われて も、それは、はっきりお答えすれば、とるべき者もいません。万が一というと、私以外にはないと思います。

泉(健)委員 万が一でも大臣が責任をとられるという話であれば、それはそういった決意とい うことで、ぜひ実行していただきたいと思うわけです。
 平成十三年には衆議院の厚生労働委員会で附帯決議というのがありまして、ここでは「男性の育児休業取得促進について調査研究を行い、有効な措置を講ずる こと。」とあるわけですね。でも、国会の中では、附帯決議というのは、言いっ放しで終わるよと、私もよく先輩から言われるものです。それではいけない。や はりしっかりとこの数値目標を達成させなければならないわけですね。そこには並々ならぬ決意が必要ですし、しっかりと各方面を調整しなければならない。
 これは厚生労働省の姿勢としてお伺いをしたいんですが、いろいろな審議会は、各方面の方々が集められている、そして議論をした上でそれを尊重するという 手順を踏まれていると思うんですが、やはりこの取得率を高めていこうという人たちと、現実はまだまだ難しいよという方々の両方がおられると思うんですね。 厚生労働省としては、子供たちの命、そして、子育て支援を考える省庁としては、やはりそこは積極的に、なるべくそういった取得率を向上させる側の、と言う と言い過ぎかもしれませんが、立場であるというふうに考えてよろしいですか。

尾辻国務大臣 そういう言い方になると、そのとおりでございます。

泉(健)委員 私が何を言いたいかといいますと、やはり当面の目標と理想というものをしっか りと分けて考えていただきたい。
 例えば、働く皆さんの集まりである労働組合の連合さんも含めてですけれども、我々民主党も、育児休業期間の延長、こういったことについては、もちろん一 年六カ月ということもさることながら、事実、現時点では、例えば入所しようにも、年度年度で入所していくわけですね、こういった施設は。ですから、一年入 れなければまた次の年度という話になってくる部分がありまして、一年六カ月まで認めていただいても、空白の期間というのがどうしてもできる、途中で入所で きない施設がたくさんありますから。そういう意味で、例えば、こういった施設に入所できない方々については、特例として年度末まで育児休業を認める、そう いう方向も、厚生労働省としてはこれを目指しているというふうに考えてよろしいわけですか。

尾辻国務大臣 これは両方から考えなきゃいけないと思います。育児休業の方からも考えるとこ ろがありましょうが、保育所の入所という面からも考える、その必要があろうかと思います。
 今おっしゃいましたように、保育所の入所というのは、基本的には四月の一日ではありますけれども、これはもう、途中入所というのはありますし、また、今 こうした待機児童が多いという事態を踏まえまして、ある程度の定員オーバーは認めて入所可というようなことで、各保育所は相当柔軟に対応いたしております から、そうした中からの取り組みということもあろうかと思います。この両面があるということを申し上げておきます。

泉(健)委員  例えば、もう一つ言いますけれども、深夜業を制限する制度というのがあるわけですけれども、これは、現時点では、小学校の就学始期に達するまでの子供を養 育する労働者が請求した場合は深夜労働を制限するということになっているわけですね。我々は、特にこれは中学校の就学の始期ぐらいまでは、親と子は夜は一 緒にいさせてあげたいという思いもございます。中学校就学始期まで年齢を上げるということを我々自身は訴えているわけですが、厚生労働省さんもそこは、理 想としてはそう思っているけれども、当面は、現時点では小学校の就学始期に達するまでだという考えでよろしいですか。

尾辻国務大臣  通常、子供が小学校に入学するころには、身の回りのことをある程度自分でできるようになっております。親が育児にかける時間もかなり少なくなっておりま す。そうした親の育児負担が、小学校に入学するころにはある程度、ある程度じゃありません、相当軽減されると考えることから、今回の深夜業の制限の対象と する子の年齢は小学校就学の始期に達するところまでとしておるところでございます。
 これは、そうした考え方に基づいておりますから、理想ととりあえずの現実的な判断、判断といいますか選択ということではない、私どもはこれは一つの考え 方に基づくものとして考えております。

泉(健)委員  看護休暇の方はどうでしょう。国の方は、子供を持つ親は年五日という話ですが、我々は、子供一人当たり十日。実際の政策判断として、一人当たり何日という 部分については、我々もそれはすぐ要求できるものではないと思いますが、その我々のような考え方を理想として感じていられるのか。それとも、これも今おっ しゃったのと同じように、もうこれ以上進めていく余地がないというふうにお考えなのか、どちらでしょうか。

尾辻国務大臣 その問題につきましては、この法律を施行した後、いろいろ実際にやっていく上 でまた一つの形が出てくるだろうと思いますし、そうしたものを踏まえながら検討すべき事項だと考えております。

泉(健)委員 ありがたいですね。そこはぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 先ほどの深夜業の話も、以前は家庭が子育ての第一義的な機能を有して、それを社会がサポートするという位置づけだったわけですが、実はその家庭の部分 が、今どんどん人が減っているというふうに私は思うんですね。以前は核家族でもなかった。ですから、家庭といえばサポートはたくさんあったわけです。それ が核家族化になり、父と母になった。今度はさらに共働きで、その核家族の中ですら、家庭と呼ぶものはあっても、事実上子育てというのは、する人がいなくな りつつある現状もあります。
 多分こういう統計というのはなかなかないかもしれないんですが、親と子供の、例えば小学校就学前まで一緒にいる時間の通算時間みたいなものの統計があれ ば、これは恐らくかなり少なくなってきているはずなんですね。要は、親と子供の接する時間というのが非常に少なくなってきている、これは社会的傾向だと思 うんです。
 確かにこれまでは、小学校に入るまでには大体の能力も身につくだろう、だからもう負担もないから大丈夫だという話だったと思うんですが、親と子の接する 時間、信頼関係を築く時間というのがまだまだ足りないという現状から考えれば、私は、中学校就学始期まで年齢を上げる、深夜業に関してそういったことが あってよいのではないかというふうに感じております。ぜひそこのところは改めてお考え方を変えていただきたいというふうに思っております。
 そして次に、さまざまな補助金、先ほど小宮山委員からも指摘がございましたが、私もぜひ指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 小宮山委員の資料の中では、二十一世紀職業財団ということで、いろいろな補助金のメニューがあるわけですね。この資料の中にはその主項目が載っているわ けですが、そこからさらに育児・介護雇用安定助成金の内訳を調べてみますと、育児休業取得促進奨励金というのがありまして、これは、育児休業を取得しやす い環境づくりを促進するための両立支援対策を計画的に実施し、男女双方に休業者が生じた場合に、一企業七十万円お出しをするというものなわけなんですね。
 これが、平成十五年、予算としてはかなりとっていまして、一億八千四百八十万円、そして件数は二百六十四件分とっているんですが、実績がゼロというふう になっております。この理由についてお聞かせいただきたいと思います。

伍藤政府参考人  先ほど来言われておりますように、男性の育児休業取得率が非常に低いという状況の中で、多分、推測いたしますに、これは要件が男性、女性ともに育児休業を 取得したことということが要件になっておりますので、男性がとったケースがないということで、この対象企業があらわれなかったということではないかという ふうに推測しております。

泉(健)委員 厚生労働省として働きかけはされましたか。

伍藤政府参考人 各都道府県の労働局を通じて、こういった制度についての周知、啓発というの には常日ごろから努めておるつもりでございます。

泉(健)委員 大変残念ですが、もう時間です。
 こういう、二百六十四件分、約二億円ぐらいの枠をとっていながら、残念ながらゼロ件という状況は、これは余りにもひどいかなということを感じざるを得ま せん。
 こういった補助金、ことしも同額、一億八千四百八十万ですか、ことしも書いてあるわけですが、ことしの実績についてはこの表では書いてありませんので、 また私も調べていきたいと思います。
 要は、今後予想される事態としては、看護休暇も、統計から見てみますと、女性の方が長くとりたいし、長くとっているという現状がございます。そうなる と、これについても、また結局男女差が出てくるんじゃないのかということがもう容易に想像がつくわけですね。
 私も子供がいますが、もちろん、国会議員ですから、一般のサラリーマンの皆さんとは同じに休めないというふうに理解をしております。しかし、男性とし て、あるいは夫として、やはり子供を看護したい、あるいは育児休業をとりたいというその思いは、一夫としてこれは持っております。自分がもしサラリーマン であればやはりとりたい、とれるような職場づくりをしたいという思いを持っております。
 特に、この男女共同参画という社会の中では、女性の施策が中心に取り上げられる、これはすばらしいことですが、男性の取得率を上げるというのは、非常に 大切な男性の施策です。ぜひここを一生懸命取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後に、その件について、大臣と副大臣、お願いをいたします。

尾辻国務大臣 しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。

衛藤副大臣 私どもも、少子化問題をずっとやる中で、男女共同参画型社会ということと同時 に、少子化については、子育てと家庭ということと同時に、やはりもっと多岐にわたって検討すべきではないのかという感じを今持っているところでございま す。
 それが、育児支援というだけでない、例えば、先ほど保育所の話もございましたけれども、保育所は、もともとは保育に欠ける状態のところへの、お母さんが 働いている、共働きで働いている方に対する支援という形でやっているわけでありますけれども、今、同時に、仕事と子育ての両立の面ではその理念を持って やっているわけではありますけれども、もっと少子化対策として、子育て支援にストレートにいくところをもっと検討しなければいけないのではないのかという ぐあいにも思っているところでございます。ですから、そういう意味を込めましても、充実方について努力してまいりたいと思います。

泉(健)委員 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました

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