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衆議院内閣委員会

平成19年4月11日(水)

株式会社日本政策金融公庫2法案について

答弁者

参 考人(株式会社日本総合研究所理事) 翁   百合君
参 考人(株式会社大和総研経営戦略研究所主任研究員) 中 里 幸聖君
参 考人(全国中小企業団体中央会会長) 佐 伯 昭雄君
参 考人(阪南大学流通学部教授)
桜 田 照雄君


河本委員長  次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太です。引き続き参考人の先生の皆様に御質問させていただきたいと思い ます。

 大変貴重な御意見をありがとうございました。我々民主党も、基本的には、政策金融の改革ということについては、その改革を進めていくべきという考え方で はありますが、やはりそこには、セーフティーネットの充実を図っていかなくてはならないということを現在考えているところでございます。

 そしてまた、ここから質問に入らせていただきますが、第一に、我が党も昨年来、政策金融の改革ということについては我が党案というのをつくってきたわけ ですが、その中で、一つ今政府との違いは、きょうは言及がございませんでしたけれども、国際協力銀行、この国際金融をこれまでの国内の金融機関と統合する という中における懸念なんですね。

 先ほど翁参考人の方からは、政策金融が撤退する分野に積極的に民間が参入すれば、それは機能をしっかりと補完できていくんだというお話がございました が、例えば、国際金融がこの四つの国内の金融機関と統合することによって、どうしてもやはり国際会計基準、これが導入をされざるを得ないのではないか。そ うなると、これまでこの四つの国内の金融機関が続けてきたいわゆる貸付業務の方に、やはりどうしてもこれまでの貸し付けの基準というのは相当水準を変えざ るを得ないのではないかという懸念もあるわけです。

 まず、翁参考人の方に、新しくできるこの政策金融公庫の方のサービス基準が予想以上に厳しくなってしまうのではないかという懸念についてはいかがお考え か、お聞かせいただけますか。

翁参考人 国際金融と統合することに伴いまして、恐らくやはり国際的に要請される部分はある と思うんです けれども、ある程度、国際金融については国際協力銀行という独立性を一方で少し保ちつつ業務を行っていくということでございますので、やはり今までの国内 向けの金融については、必要な資金需要についてはきちんとこたえていくという工夫をすることによって、統合金融機関の中でうまくマネジメントをしていくと いうことが必要になっていくというように思っております。

泉委員 同じ質問ですが、中里参考人にも、この国際会計基準、今、翁参考人の方からは、それ でもやはり国 内と国際、独自性を持ってというお話がありましたが、海外の投資家からは、一つになった日本政策金融公庫というものを見られたときに、そのそれぞれの独 立、独自性というのはどこまで保てるのか。あるいは、国内の中では、やはり特別な役割があるということで、これまでのような貸し付けに近い形のサービスが 提供できるのかというところがやはり懸念だと思うんですが、そのことについての御意見はいかがでしょうか。

中里参考人 この点については、資金調達面等でも国際金融部分に関しては、違うと言ったら変 ですけれど も、それ用の債券を発行して資金調達するような方向で今制度設計されていると思うんですけれども、そういうところをしっかりやって、しっかり情報公開して いけば、そういう海外投資家の懸念等にはこたえられるのではないかと思われます。

 なおかつ、民間金融機関ではなくてあくまで政府の金融機関というポジションですから、政府の信用力が落ちちゃえば別ですけれども、そうでない限りは大丈 夫なのではないかというふうに考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 続いて、先ほど中里参考人の方からも、ドイツ復興銀行の例、大変いい例を挙げていただいたと思うんですが、翁参考人の方からは、能力ある経営陣、これが 選ばれることが非常に重要だというようなお話がございました。

 このドイツのような形、さまざまなステークホルダーが集合して経営体をつくるという形、今回のこの政府法案の中でどこまで実現をするだろうかということ は私たちも注目をしているわけですが、ドイツ復興銀行のような、本当にさまざまな分野の方々を、今回の政策金融公庫、この中でも実現をしていくべきだと考 えるか、それとも、日本の場合は、やはり官出身の方、あるいはその中に民間の方、学識者ぐらいがまざるようなものを想定すべきと考えるべきか。その点につ いて、お二方から御意見をいただきたいと思います。

翁参考人 どの程度の幅を認めるかということについてはいろいろ意見があると思うんですけれ ども、やはり 民間の方、学識経験者、利用者、そういったさまざまな観点から経営に対して意見を述べられるというような方々を取締役会とかガバナンスのボードに入れてい くということが考えられるのではないかというように思っております。

 官出身の方ということもございましたけれども、今の天下りのいろいろな状況にかんがみましても、そこについては、やはり経営陣、中の方々のインセンティ ブとか経営の自主性の観点からも、それから、もともと制度設計の段階で、特定の公務の経歴を有する者を固定的に選任されないようにするという制度設計にお ける約束事がございますので、そういった点を配慮して決めていく必要があるのではないかと思っております。

中里参考人 先ほど申し上げた点と重なる部分もあるんですが、今後、我が国経済というのは先 行モデルがない時代に入った。そういう状況にあっては、やはり多様な意見が反映されることというのが、よりよい政策金融機能を発揮するために重要ではない かと思っております。

 したがいまして、どの程度の範囲というのは、やはり実際にどういう業務をしていくのかにもよる部分があるんですけれども、ある程度の多様性を持つような ボードにした方がよいのではないかと考えております。

泉委員 続いて、全国中小企業団体中央会佐伯会長にもお越しをいただきましたけれども、私は 改めて認識を したのは、昨年の五月に参議院の行政改革に関する特別委員会で参考人で御陳述をいただきました。そのときにいただいたお話の中では、三万二千の中小企業組 合の傘下に三百十一万の中小企業が参画しておりと。本日お伺いすると、それが三百五万という形で、この一年間足らずの中に、既に六万社が減少しているとい うこの厳しい実態。そしてまた、我が国の企業の九九・七%が中小企業でありというところから始まる文脈でも、小売販売業では、その当時は八割のウエートと いう表現をなされていたんですが、今回は七割のウエートというお話がございました。

 もちろん、依然として中小企業がこの日本の経済活動の中枢を占めているということの事実は変わらない、経済活動というか、より広く言えば国民生活を支え ているというその状況は変わらないわけですが、この一年間でも大変厳しい状況があったのではないかというふうに思います。

 そのときに、改めて、先週この委員会での質疑の中でも大臣にも質問させていただいたんですが、翁参考人の方からは最後の宿題への答えというような御表現 がございましたが、財政投融資、これを郵政民営化によってまず入り口の改革を行った。私たちは、それについても基本的には、改革そのものはするべきだ、財 政投融資の無駄を省くべきだという観点ではありました。ただしそれは、多くの国民が望んでいた財政投融資の改革というのは、ビッグプロジェクトに対する過 大な投資、その無駄の解消であったり、天下り、こういった行政、政府の無駄の解消に、本来国民の願いというのはあったのではないかという気がしておりま す。

 本来的に、もう一つの財政投融資の大切な機能である、民から集めた官のお金をもう一度民に戻すような、ある意味、官から民へ、官から民へという流れで今 表現されていますが、実は、そもそも民の大切なお金をもう一回民に細かく戻していくという、いわゆるこういった貸し付け機能というものまでも改革しなけれ ばならない状況に本当にあったのかというところを、もう一回再確認する必要があるのではないかというふうに思います。

 その点について、まず、これは四先生の方々にお伺いをしたいと思います。翁先生からお願いをいたします。

翁参考人 財政投融資、まさに先生おっしゃったように、例えば道路や橋、こういったものに高 度成長期非常に使われておりまして、これについて改革が必要だという国民の声は非常に強いです。

 私は、政策金融について、例えば零細とか、本当に民間が貸し出せないような、特に国民金融公庫のようなところですが、こういったところについては引き続 き重要な政策金融としての役割があるというように思っておりますけれども、中小企業につきましても、すべて中小企業は政府がやらなければならないという時 代はもう終わってきていて、やはり中小企業も、例えばいろいろな金融技術も発展していきますし、中小、中堅企業では民間からいろいろな支援を得て大きく なっている企業もたくさんございます。

 そういう意味で、貸し付けの部分についても、いろいろな分野で官民の役割の分担を見直さなければならない分野というのはあったというように思っておりま すので、やはり貸し付けと十把一からげにはできない。貸し付けの中にもいろいろな分野があって、やはり官民の役割分担を見直さなければならない分野という のはかなりあるというように思っております。

中里参考人 財投改革等が無駄の解消を期待して行われた、それの効果というのはある程度上 がっているとい う部分は、そのとおりだと思います。一方、政府というのは、ケインズが言うごとく、民間で計算できないリスクを担えるのはやはり政府という公的存在しかな い。そういう意味では、やはり政策金融という機能は引き続き、どういうやり方をするにせよ、必要であることは間違いないと思っています。

 その場合、今先生おっしゃられたように、単純に官から民ではなく、民、官、民とか、それぞれうまく流れていくことが重要である。ただ、そういったとき に、やはり中小といってもいろいろな場合があるわけで、それは絶えず見直しをしなきゃいけない。

 最初の私の報告にもありましたように、本当は必要な中小の有望な事業でも、民ではリターンという意味で、いまいち情報生産活動が過小になってしまう、そ ういう危険性があるので、そういうところにやはり政策金融の役割はあると思っております。

 ただ、今までのやり方というのが適切だったかどうかというのは、いろいろと見直す必要があると思いまして、今回新たに改革が行われるわけですから、抜本 的に、より無駄が少なく、なおかつ効果的なやり方を追求していくべきではないかなと考えております。

    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

佐伯参考人 先ほど来いろいろな発言、御意見がありますけれども、民にできることは民にや る、これは当然 だと思うんですけれども、民間ができないのは官がやらなきゃならない。その役割の一つが政府系金融機関、中小企業に対する先ほど言った危機管理も含めた融 資であろうというふうに思っております。

 行政改革推進法の衆参両院からの附帯決議で、「資金需要に質量ともに的確に応える」というふうなことがされておりますので、財政措置を含めてしっかりと した御支援をお願いしたいというのが私の意見でございます。

 以上でございます。

桜田参考人 官を仲立ちにした民から民への金融システムというもの、泉議員のお考えに基本的 に同感します。

 私は、地域の金融機関、特に地方銀行だとか信用金庫というのは、地域経済の中でのやはりシンクタンクの役割を積極的に果たすべきだと考えています。ま た、そこに地方自治体がかかわって、そういう地域ぐるみでの新しい金融システム、あるいは民から民への金融システム、こういうものをつくり上げていくこと が今後の課題ではないか、我々にとっての課題ではないかと考えております。

 以上です。

泉委員 桜田参考人の御陳述の中でおっしゃられた、これまで中小企業の収益を上げる方策を考 えてきたのは 銀行マンなんだ、いかにそれをつぶさずに、ともにサポートをしていきながらというようなお話は、私も大変、ああ、現場の実態に基づいた御発言だなという気 がしたわけですが、中小企業の再生というところに対して、アプローチの仕方がいろいろあると思うんです。

 大変強い、金融的な厳格な市場のルールなりを中小企業に知らしめることによって、自助努力というか自立再生をしていただくという方法もありますし、温か く見守っていく方法もありますしというところなんですが、翁参考人、それぞれの参考人の御意見というのは尊重をもちろん私は前提としておるわけですが、例 えば今、桜田参考人がおっしゃられたような、地域の中で、それぞれの中で地域ぐるみの金融システムというものをつくっていくべきなんだ、あるいは、いわゆ る大手のコンサルティングやそういったところ以外にも、これまで地域の中小企業を支えてきた、そういうコンサルティング的な役割を銀行マンなり地域の金融 機関がやってきたんだということで、こういった地域の中での、窓口業務も含めて、しっかりとこういったものの質は落としちゃいけないという御意見があった わけですが、そういったことについての御意見はいかがでしょうか。

翁参考人 中小企業というのは、全国各地、地方でいろいろな問題を抱えていると思います。そ ういったところに対してきちんとサポートをする第一の役割をすべきなのは、やはりメーンバンク的な役割をしているコミュニティーバンクであり、その地域の 金融機関だと思います。

 やはり、先ほどの御発言にもありましたけれども、その地域の金融機関の最先端の方が、目ききを生かして企業に対してどういうサポートをしていくのか。多 分それは、事業のサポートだけでなくて、財務リストラクチャリングのサポート、それから、もしかしたらいろいろなネットワークというものも必要になってく ると思います。その意味で、地域金融機関が、金融技術、目ききの力、そして地域、それから地域を超えたネットワークの力をつけて企業をサポートしていくと いうのが今後も非常に重要な役割ではないかというふうに私も思っております。

泉委員 そして、次の課題に移らせていただくんですが、経営者の経営責任ということが、特に 今回は、それ ぞれの勘定ごとに明確にしていく、そういう法案になっておりますけれども、一方で、それぞれの既存のこれまでの金融機関が抱えてきた構造というものも私は あると思うわけです。例えば、中小企業金融公庫が構造的に抱えてきた信用保険等業務というものの中では、損失構造をずっと抱えてきているわけですね。

 こういったものを、今後それぞれの勘定ごとに責任をとっていくという場合に、やはりどうしても中小企業金融公庫の中のこの勘定の構造というものは変えが たい性質を持っているんではないのかなと思うんですね。その場合における経営責任とは果たしてどのようなものを指すのかということについて、私は、まだな かなか想像しにくいものがあるわけです。

 参考人の皆様が望まれる経営責任のあり方、例えば農林漁業金融公庫においても、政府補給金収入というのが非常に多い。これは、本来的な民間の株式会社で いけば、やはり姿としては適切な姿ではないという話にもなってしまうわけですが、それぞれの特性においてこれまで続いてきた構造ということもありますの で、それぞれの勘定の中で経営責任、これをどうとらえていくのかということについてお話をいただければと思います。

翁参考人 経営責任については、やはり個々の勘定ごとに、今先生がおっしゃったようにかなり 個別の事情が ありまして、なかなか難しいところだと思いますが、ある程度経営者にきちんと規律を持って経営に当たっていただくためには、運営上の工夫として、例えば、 一定の、今までの特性を踏まえた上で数値の目標などを定めて、明確に外にわかるような目標を掲げた上で、それに対してどう責任をとるかというような工夫を するとか、今後いろいろ工夫をしていって、経営者に対しても一定の規律が外から働くような仕組みというのを考えていってはどうかというように思っておりま す。

中里参考人 私は、やはり政策金融としてやる以上は、政策目的を果たすために必要な資金投入 というのは あっていいと思います。したがって、収益構造的に赤字だからだめということではない。そういうことではなく、その赤字が過大でないかとか、あるいはちゃん と政策目的を果たせていないんではないか、そういうところが評価基準になるかと思います。

 ただ、その具体的な数値に関しては、今までの過去の経験とか、そういうところから適正基準をいろいろ試算していく必要があるんですけれども、赤字だから だめというものではないと思います。基本的に政策目的をきちんと果たしている、これが一番重要なことではないかなと考えております。

佐伯参考人 政府系の金融機関ということで、新しい公庫でございますので、政府の施策によっ ていろいろな ことをやるという意味で、それに伴っての赤字だからとかで責任をすぐとるというようなことはやめた方がいいんじゃないかというふうに思います。それはあく までも政策にのっとってやったということだろうと思います。

 それはそれながら、やはり情報公開という意味では、中はある程度クリアにして、こんな政策で、こういうことをやって、このくらいの赤字が出たとか、ある いは資金が足りないとか、それで財政支援を必要とするとか、そういうような情報の公開というのは積極的にやっていただければというふうに思います。

 以上です。

桜田参考人 二つあると思います。

 一つは、区分経理に基づいて、セグメント別の、いわば経営責任を明確にするような情報開示を促すこと。そして、それらを総合した点での経営責任というも のを明確化すること。

 それから、一つつけ加えておきたいのは、やはり経営意思決定過程といいますか、経営判断の根拠を示してこその責任ではないかというふうに私、考えますの で、その経営判断の根拠を示すディスクロージャーを求めていく、これが必要ではないかと思います。

泉委員 今回のこの政策金融改革、冒頭にも申しましたけれども、我々は、基本的には賛成とい うか、その趣 旨には賛成をするわけですが、しかし、まだまだ政府案の中には足りないところも、あるいは、最近の傾向としてどうしても法律の中では後ほど政令で定めると いうようなことがかなり仕組みとして多いものですから、なかなかはっきりしない、不安な点が多いというのも事実でありまして、その辺をやはりはっきりさせ ていくことが必要ではないのかなというふうに思っております。

 先ほどの話に戻りますが、やはり財政投融資、根本的に、細かく国民の期待にこたえてきたこの政策金融の役割というのは我々は評価をしっかりとすべきでは ないか。そこを同じように十把一からげ、一把一からげですべて、不断の見直しは必要なんですが、そこをあたかもビッグプロジェクトの無駄と同等に扱ってし まうということにはやはり危険性があるということで、ぜひ参考人の先生の皆様にもこれからこの法案に注視をしていただきたいというふうに思っております。

 どうもありがとうございました。

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